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システム開発は内製と外注どっち?「1人雇う本当のコスト」で判断する

公開 2026/7/15

社内でシステム開発の進め方を検討するイメージ

「システムは社内で作った(内製した)方が安いのでは?」——これは多くの経営者が抱く自然な発想ですが、実際には逆になることが多いです。この記事では、内製と外注を「エンジニアを1人雇う本当のコスト」と「損益分岐の目安」という具体的な数字で比較し、内製すべきか判断する5つの質問まで踏み込んで解説します。結論を先に言えば、**判断のカギは「これから、どれだけの量を、どれくらいの頻度で作り続けるか」**の一点に尽きます。

「内製=安い」は誤解。エンジニアを1人抱える本当のコスト

内製が高くつきやすいのは、エンジニア1人のコストが「年収」だけでは終わらないからです。給与のほかに、採用費・社会保険・設備・教育・マネジメントといった費用が二重三重に積み上がります。

項目目安
年収(中堅エンジニア)500万〜800万円
採用費(人材紹介)想定年収の30〜35%(例:約180〜210万円)
社会保険の会社負担給与の約15%
PC・ツール・ソフトのライセンス年30万〜60万円
教育・採用・マネジメントの手間既存社員の工数(月数十時間)
実質の年間コスト約800万〜1,000万円超(初年度)

たとえば年収600万円のエンジニアを1人採る場合、給与600万円に社会保険の会社負担が約90万円、初年度は採用費が約180〜210万円、PC・ツールで約40万円が乗ります。ここに、指示・レビュー・面談に取られる既存社員の時間(これも人件費です)を足すと、「見かけの年収」の1.5〜1.7倍が実際の年間コストになるのが普通です。

さらに見落としてはいけないのが、1人だけだと退職・病気・産休で開発が完全に止まるという点です。属人化した状態で担当が抜ければ、引き継ぎもできず一からやり直しになりかねません。だから実務では2人以上の体制が推奨され、そうなると**内製は「毎年1,500万〜2,000万円級の固定費」**を背負う選択になります。

一方、外注は必要なときに必要な分だけの費用です。100万円のシステムを外注しても、内製エンジニア1人分の年間コストにすら届きません。仕事が途切れれば費用も止まる——この「固定費にならない」点が、外注の最大の強みです。

「内製は人件費だけ見ればいい」と思われがちですが、実際には採用・教育・設備・マネジメント・離職リスクという見えにくい費用が層になって乗ってきます。この記事では、その全体像を具体的な数字とともに一つずつ分解していきます。

内製と外注の違い(現実的な比較)

内製(社内で作る)外注(開発会社に頼む)
実質コスト毎年1,000万円級の固定費案件ごと(100万〜)
立ち上げ採用に3〜6ヶ月+育成すぐ着手できる
撤退のしやすさ難しい(雇用責任)案件単位で止められる
ノウハウ社内に蓄積する溜まりにくい
品質の担保採用した人の力量次第会社の体制・実績に依存
スピード採用が終われば速い依頼から着手まで数週間のことも
向くケース常時・大量の開発があるスポット〜中規模の開発

もう少し具体的に、それぞれの良し悪しを整理します。

内製のメリット

  • 事業に深く踏み込んだ知識が社内に溜まる
  • 思い立ったらすぐ手を入れられる(依頼・見積りの往復が不要)
  • 仕様変更や小さな改善を高速で回せる
  • 開発ノウハウが競争力として蓄積する

内製のデメリット

  • 毎年1,000万円級の固定費が発生し、仕事が薄い月も給与は出ていく
  • 採用に3〜6ヶ月、育成にさらに時間がかかる
  • 退職・休職で開発が止まる(属人化リスク)
  • 1人では技術の幅が足りず、結局外注も併用しがち

外注のメリット

  • 必要なときだけの変動費で、固定費を持たなくて済む
  • すぐに着手でき、複数の技術・実績をまとめて使える
  • 案件単位で止める・切り替えるができる
  • 採用や労務のリスクを負わない

外注のデメリット

  • 要件を伝え、確認するコミュニケーションの手間がかかる
  • 会社選びを誤ると品質・費用でつまずく(→失敗しない会社選び
  • 依存しすぎると乗り換えにくくなる
  • 社内にノウハウが溜まりにくい
開発チームで業務を進めるイメージ
内製は「開発を止めない体制」を自社で維持し続けること。1人の採用ではなく、チームと固定費を抱える覚悟が要る。

損益分岐の目安:何人月/年で外注と逆転するか

判断のものさしはシンプルです。「年間を通して、エンジニア1人分(約12人月)以上の開発・改修が継続的に発生するか」。人月とは「エンジニア1人が1ヶ月働く作業量」の単位で、詳しくは人月とは何かの解説も参考にしてください。

数字で試算してみます。内製エンジニア1人の実質年間コストを約900万円とすると、1人月あたりのコストは約75万円(900万円 ÷ 12ヶ月)です。一方、外注の相場は内容によりますが、たとえば1人月あたり80万〜120万円が一つの目安です。ここから逆転ラインが見えてきます。

年間の開発ボリューム内製の負担どちらが得か
年2〜3人月(小さな改修中心)900万円の固定費がほぼ遊ぶ外注が圧倒的に割安
年6人月(半年分くらい)半分は仕事がない外注が有利
年12人月(ほぼ常時稼働)ほぼ埋まるほぼ互角(内製の検討ライン)
年18人月以上(1人では足りない)2人目が必要に内製が有利になり得る

ポイントは、**内製は「使わない月も費用が出ていく」**こと。年に数本+スポットの改修程度なら、エンジニアの手が空く月が必ず出ます。その空き時間ぶんも給与は発生するため、実際の「作った量あたりの単価」は跳ね上がります。

多くの中小企業は最初の2行に当てはまります。「年に1〜2本のシステムを作り、あとは時々の改修」なら、900万円超の固定費を抱えるより、その都度外注する方が安く・柔軟です。逆に、常に開発案件が積み上がって外注費が年1,500万円を超えるようになってきたら、そこが内製化を真剣に考えるタイミングです。

もう一つ注意したいのは、内製の1人は「万能」ではないという点です。フロント(画面)、サーバー、インフラ、スマホアプリと、必要な技術領域は幅広く、1人でカバーできる範囲は限られます。「サーバーは書けるがスマホアプリは専門外」というのはよくある話で、結局その領域だけ外注する——つまり内製と外注を両方抱える形になりがちです。損益分岐を考えるときは、**「本当に1人で全部まかなえるのか」**まで見ておく必要があります。

見落としがちな「隠れコスト」

数字に出にくいコストこそ、判断を誤らせます。

内製の隠れコスト

  • 採用までの3〜6ヶ月の空白(その間、開発は進まない)
  • 採用に失敗して早期離職された場合の、採用費の丸損とやり直し
  • 育成・マネジメントに割かれる既存社員の時間
  • 退職による開発ストップと引き継ぎ(属人化)
  • 特定の技術しかできず、別領域は結局外注が必要になる
  • 仕事が途切れても給与は発生し続ける

外注の隠れコスト

  • 要件を伝え、確認するコミュニケーションの手間
  • 会社選びを誤ったときのリスク(→失敗事例に学ぶ
  • 追加費用が後から積み上がる見積り方式だと総額が読めない
  • 依存しすぎると乗り換えにくくなる(→ベンダーロックインの回避

とくに内製の「採用失敗リスク」は数字に出にくい割に痛手です。採用費180万〜210万円をかけて採った人が半年で辞めれば、その費用は戻らず、開発も振り出しに戻ります。中小企業にとってこの一撃は決して小さくありません。

一方、外注側のリスクは事前に対処できます。目的を明確に伝え、要所で確認し、着手前に総額が確定する会社を選び、ソースコードを受け取れる契約にしておけば、追加費用やロックインの不安はほぼ消せます(→契約で気をつけること)。

内製すべきか判断する5つの質問

次の5つに「はい」がいくつ付くかで、傾向が見えます。それぞれ「なぜ効くのか」を添えます。

  1. これから継続的に、新機能や改修を出し続ける予定か?
    • 継続量が損益分岐(年12人月)を超えないと固定費が回収できません。
  2. その開発は、事業の競争力そのものか(他社との差別化の核か)?
    • 差別化の核なら、ノウハウを外に出さず社内に溜める価値があります。逆に「あって当たり前の業務システム」なら外注で十分です。
  3. エンジニアを採用し、給与を払い続け、育成・マネジメントできる体力があるか?
    • 採用も維持もできないと、抱えた人が遊ぶか、逆に辞めて開発が止まります。
  4. 今すぐではなく、時間をかけて社内に力を蓄えたいか?
    • 内製は立ち上げに半年以上かかります。「今すぐ形にしたい」なら外注一択です。
  5. 社内に、IT の判断ができる人材がすでにいるか?
    • 採用したエンジニアを評価・指示できる人がいないと、良し悪しすら判断できません。
  • 「はい」が多い(4〜5個) → 内製、または内製化を見据えたハイブリッド
  • 「はい」が3個前後 → まず外注で始め、量が増えたら内製化を検討(ハイブリッド)
  • 「はい」が少ない(0〜2個) → 外注が現実的

ケース別・現実的な答え

  • 従業員20人の運送会社が受発注を効率化したい → 開発は競争力の核ではなく頻度も低い。5つの質問はほぼ「いいえ」。外注が明確に正解。1,000万円の固定費を抱える理由がありません。
  • 自社サービス(SaaS)で毎週機能を追加していく → 開発が事業そのもので、量も頻度も多い。5つの質問はほぼ「はい」。**内製(または内製中心+一部外注)**が合理的。
  • 店舗チェーンが予約・在庫を仕組み化したい → 最初に作る量は多いが、その後は運用と小改修が中心。まず外注で作り、日々の運用・小改修だけ社内で。ハイブリッドが最適
  • 製造業が生産管理を刷新したい(数年に一度) → 大きな開発は数年に一度で、常時は発生しない。外注で作り、権利を受け取って社内で運用するのが現実的。

一般化ミニ事例:作った回数で答えが分かれた2社

例:年に1本ペースのA社(卸売業・従業員30名)。 受発注システムを外注で作り、以降は年に数回の改修だけ。試しに社内エンジニアを1人採用したものの、改修が終わると手が空き、給与だけが出ていく状態に。1年で「これは外注に戻すべきだった」と判断。作る量が損益分岐に届かない典型でした。

例:毎月機能を足すB社(予約サービス運営・従業員15名)。 当初は外注で作っていたが、ユーザーの声を受けて毎月のように機能追加が発生。外注費が年1,500万円を超えたあたりで、エンジニアを採用して内製に切り替え。開発量が損益分岐を超え、内製の固定費が回収できるようになった典型です。

2社の違いは規模ではなく「作り続ける量と頻度」でした。ここが内製・外注を分ける本質です。従業員数や売上ではなく、「これから毎月どれだけ手を入れるか」で判断するのが正解です。

実は最強:ハイブリッドという第3の選択

「内製か外注か」は0か100かではありません。中小企業で最も失敗しにくいのは、外注で作り、日常の運用・小さな改修だけを社内で担う進め方です。

  1. まず外注で、必要なシステムを総額の見えた形で作る
  2. 納品時にソースコードとドキュメントを受け取る(乗り換え可能にしておく)
  3. 日常の軽微な運用は社内で、大きな改修は再び外注に
  4. 開発量が増え、常時12人月級になってきたらそのタイミングで内製化を検討

このやり方が優れているのは、判断を先送りできる点です。「内製すべきか」は、実際に運用してみないと分からない部分が大きい。ハイブリッドなら、まず外注で低リスクに立ち上げ、運用しながら「どれくらい手を入れ続けるか」を見極め、量が確実に増えてから内製へ——と、事実にもとづいて段階的に判断できます。

逆に、いきなり内製から始めると、まだ量も分からないうちに1,000万円級の固定費を確定させることになります。**「小さく外注で始めて、伸びたら内製」**の順序なら、初期の固定費とリスクを抑えつつ、将来の内製化の道も残せます。乗り換え可能にしておくには、契約時にソースコードの権利が自社に渡ることを必ず確認してください。

「一律料金の外注」で内製のコスト・リスクを避ける

外注で最大の不安は「結局いくらになるか」です。追加費用が後から積み上がる方式だと、内製と外注のコスト比較そのものが成り立ちません。D-oneAppは料金が一律100万円(大規模なプロプランは一律200万円)で、着手前に総額が確定します。だから内製の固定費と正確に天秤にかけられます。

内製と比べたときの利点は3つです。

  • 固定費にならない:エンジニア1人の年間コスト(約900万円)の一部で必要なシステムが手に入り、仕事が途切れても費用は発生しません。
  • すぐ着手できる:採用の3〜6ヶ月を待たずに開発を始められます。
  • 移行しやすい:成果物(ソースコード)の権利をお渡しするので、将来ハイブリッドや内製へ移行しやすく、乗り換えの自由も残ります。

会社選びはシステム開発会社の選び方、費用は費用相場と一律料金の記事、100万円で何ができるかは100万円でできることもどうぞ。

まとめ

内製と外注は「作る量」で決まります。要点を振り返ります。

  • エンジニア1人の実質コストは年800万〜1,000万円級の固定費。年収だけでは終わらない。
  • 損益分岐の目安は年12人月。ここを超えて継続的に開発があるなら内製の検討ライン。
  • 年に数本+改修程度なら外注が圧倒的に割安。使わない月も給与が出る内製は割高になる。
  • 判断は「①作り続ける量 ②競争力の核か ③人材を維持できるか ④スピード ⑤IT を分かる人がいるか」の5つで見る。
  • 迷ったら**「小さく外注で始めて、伸びたら内製」のハイブリッド**が最も失敗しにくい。

継続的に大量の開発があり、それが事業の核で、人材を維持できる体力があるときだけ内製が視野に入ります。多くの中小企業は「外注で作り、運用は社内」のハイブリッドが最適解です。まずは低リスクに、総額の見えた外注で一歩を踏み出すのが堅実です。自社はどのケースか迷ったら、無料相談で一緒に整理しましょう。

よくある質問

Qシステム開発は内製と外注どちらが安いですか?
A

「作る量」で決まります。エンジニアを1人抱える実質コストは、年収に採用費・社会保険・設備・マネジメント工数を含めると年800万〜1,000万円超が目安です。年間を通してエンジニア1人分(約12人月)以上の開発・改修が継続的に発生するなら内製が割安になり得ますが、それ未満のほとんどの中小企業では外注の方が安く済みます。

Qエンジニアを1人採用するといくらかかりますか?
A

年収500万〜800万円に加え、人材紹介を使えば採用費が想定年収の30〜35%(例:年収600万なら約180〜210万円)、さらに社会保険の会社負担が給与の約15%、PCやツール代がかかります。初年度は実質1,000万円前後を見込む必要があります。しかも1人退職すると開発が止まるため、実際は2人以上必要なことも多いです。

Q内製と外注、どちらを選ぶか決める基準はありますか?
A

「①継続的に手を入れ続けるか ②開発が事業の競争力の源泉か ③エンジニアを採用・維持できる体力があるか ④今すぐ形にしたいか ⑤社内にIT が分かる人がいるか」の5つで判断します。YESが多ければ内製寄り、少なければ外注寄りです。

Q中小企業に一番現実的な進め方は何ですか?
A

「外注で作り、日常の運用・小さな改修だけ社内で担う」ハイブリッドが現実的です。人材を抱えずに必要なものを手に入れ、事業が伸びて開発量が増えてから内製化を検討すれば、初期のリスクとコストを最小化できます。